日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネにおけるグルタミンセンサー候補としてのACT-ドメインリピートタンパク質(OsACR)群の発現・機能解析
*工藤 徹高橋 伸之早川 俊彦山谷 知行
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p. 658

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抄録
 イネでは、NADH-グルタミン酸合成酵素(NADH-GOGAT)やアンモニウム輸送担体群(OsAMT1;1-3)の遺伝子発現はグルタミン(Gln)により制御される。我々は、イネ窒素代謝系のGln情報伝達分子機構を解明するため、微生物GlnセンサーGlnDのアミノ酸結合ドメイン(ACT-ドメイン)と相同的な4回の繰り返し配列より成るACT-ドメインリピートタンパク質群の遺伝子(OsACR2-7)をイネより新規に単離した。昨年度本大会では、OsACR3が、転流Glnが著しく流入すると予想される未抽出葉身の木部・篩部境界柔細胞群の核に存在し、かつ、Gln結合能を有す可能性を報告した。本大会では、イネにおけるOsACR2-7の発現解析結果ならびにOsACR3発現抑制(ノックダウン)イネの作出とOsACR3の機能検証結果について報告する。 
 RT-PCR解析より、イネにおいて、OsACR3, 5, 6は葉鞘・葉身、OsACR7は穎果で主に発現することが示された。一方、OsACR2, 4はほぼ構成的に発現していた。現在、各OsACRの細胞内存在場所を解析している。また、OsACR3 cDNAの3’-UTRをトリガー配列としたRNAiコンストラクトをイネに導入した結果、形質転換系統当代の葉身において顕著なOsACR3 発現抑制が認められた。これらのOsACR3ノックダウンイネでは、他のOsACR群の発現に変化はみられず、かつ、野生型と比較して生殖成長期個体の顕著な短竿化が認められた。現在、OsACR3ノックダウンイネでの窒素代謝系遺伝子群の発現変化を検証している。
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© 2005 日本植物生理学会
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