日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのOsGS1;1遺伝子破壊変異体を用いたサイトゾル型グルタミン合成酵素の機能解析
*田渕 真由美石山 敬貴井上 恵理高橋 秀樹山谷 知行
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p. 656

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抄録
 イネのサイトゾル型グルタミン合成酵素(GS1)遺伝子は、GS1;1GS1;2GS1;3の3種類があり、小遺伝子族を形成している。このうち、GS1;1構造遺伝子上にレトロトランスポゾンTos17が挿入された遺伝子破壊変異体が得られている。この変異体は、葉身、葉鞘および根のGS1含量が減少しており、成育の遅延や稔実率の低下が認められた。この変異体を用いて、OsGS1;1の機能解析を行った。
 GS1;1破壊変異体の葉身、葉鞘、根を供試してreal time RT-PCR解析を行った結果、正常なGS1;1 mRNAは検出されなかった。一方、GS1;2 mRNAは、供試した全ての器官でwild typeと同程度検出された。NH4+投与後48時間の変異体の葉身のアミノ酸蓄積量を測定したところ、wild typeと比較して、グルタミンが60%減少していた。これに伴い、総アミノ酸含量も減少していた。この変異体に、GS1;1 promoter制御下でGS1;1 cDNAを導入したところ、成育の遅延などの表現型は回復し、wild typeと同様に成育した。このことから、変異体で認められた表現型は、GS1;1が欠損していることに起因していると結論した。同時に、GS1;1の機能は他のGS1やGS2では相補できないことが判明し、イネのNH4+同化においてGS1;1は極めて重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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© 2005 日本植物生理学会
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