日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケにおけるPII様タンパク質をコードするcDNAの単離とその発現解析
*田原 圭輔辻本 良真高谷 信之前田 真一小俣 達男
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p. 660

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抄録
PIIタンパク質は大腸菌やラン藻において、細胞内の窒素栄養状態を検知し、窒素同化系の活性を転写と翻訳後の段階で制御している。近年、シロイヌナズナなどの植物においてもPIIホモログ遺伝子(GLB1)の存在が明らかにされ、PIIが細胞内窒素栄養状態を検知していることが示唆されている。しかし、植物におけるPIIタンパク質の具体的機能についてはいまだ解明されていない。そこで我々は、相同組み換えによる遺伝子破壊が可能であり、逆遺伝学的解析が容易に行えるセン類のヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)を材料とし、植物におけるPIIタンパク質の機能解析を行うことにした。ヒメツリガネゴケcDNAライブラリーよりPIIタンパク質をコードする遺伝子PpGLB1を単離し、サザン解析の結果からPpGLB1は単一の遺伝子であることを明らかにした。PpGLB1推定アミノ酸配列はシロイヌナズナと48%の同一性(74%の類似性)を示し、N末端には高等植物同様に葉緑体移行トランジットペプチドと思われる延長領域が確認された。RT-PCRによる発現解析ではシロイヌナズナにみられる窒素条件や光、糖による転写量の変化は見られず、構成的に発現していることが示唆された。現在、相同組み換えによるPpGLB1破壊株の作出を試みている。
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© 2005 日本植物生理学会
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