日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ラン藻 Synechosystis sp. PCC 6803 における強光によるアンモニア同化の制御に対するPIIタンパク質の機能
*高谷 信之前田 真一藤田 祐一小俣 達男
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 659

詳細
抄録
 ラン藻のPIIタンパク質は細胞内の炭素/窒素比の変化に応答してリン酸化/脱リン酸化を受けるタンパク質である。以前、我々はSynechosysytis sp. PCC 6803 のアンモニア同化速度が、細胞を弱光条件から強光条件に移すことにより増加すること、及びこの過程にPIIが必要であることを報告した(2003年度本年会)。しかし、PIIがアンモニア同化系の酵素活性を増進しているのか、あるいは炭素骨格となる2-オキソグルタル酸(2-OG)の供給を増大しているのかは不明であった。この点を明らかにするため、Synechosysytis sp. PCC 6803の野生株とPII欠損株を弱光条件から強光条件に移した際の窒素同化系遺伝子の発現量の変動について調べたところ、NtcA制御下の窒素同化系遺伝子群の発現が野生株ではほとんど変化していないのに対して、PII欠損株では有意に誘導されることを見出した。転写調節因子であるNtcAの活性は、細胞内の2-OG濃度の増加により活性化を受けることが明らかにされているので、PII欠損株では2-OGが蓄積されていることが示唆された。今回得られた結果からPII欠損株では強光条件下における炭素同化量の増加とそれに伴う2-OGの供給増加に対してアンモニア同化系の活性を高めることができていない可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top