2024 年 3 巻 1 号 p. 203-212
鉄道河川橋梁では,激甚化する豪雨に伴い洗掘災害が多く発生している.本稿では,洗掘被害を受けた橋梁の早期復旧に向けて,橋脚や橋桁を再利用して復旧する方法を検討した.まず現地調査により,橋桁全体の変位や支点部の変状,橋脚躯体の亀裂や変形の有無,衝撃振動試験で得られる固有振動数の被災前後の変化などを確認し,橋梁全体の健全度を判定する.現地調査により著しい健全度の低下が無ければ,予備載荷試験や静的載荷試験,走行・制動試験を行い,橋脚の沈下量や傾斜角を計測し,橋脚基礎の安定性や支持性能を確認する.さらに,恒久的な洗掘防止と支持性能向上として,シートパイル基礎工や薬液注入工などの対策を行う.なお一連の復旧過程については,過去の復旧事例を通じて示した.