日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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一酸化窒素(NO)とフェレドキシンの反応性
*坂本 祐基長谷 俊治山崎 秀雄
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p. 664

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抄録
植物細胞において、一酸化窒素(NO)は酵素的および非酵素的機構によって生成される 。NOはエチレンのようにガス状シグナル分子として働くと同時に、活性窒素として活性酸素と同等の細胞内毒性を示す。鉄硫黄クラスターをもつタンパクは、ニトロシル化反応をおこしやすいため、NOおよび活性窒素毒性の主要なターゲットであると考えられている。しかし、これまでNOと植物フェレドキシンとの反応性検討の報告例はない。今回、葉緑体フェレドキシンFd (I)、根型フェレドキシンFd (III)及びFd (III) 改変タンパクとNOとの反応性について報告する。SNAPによりNOをin vitro系で発生させたところ、各種フェレドキシンに特徴的な可視吸収ピーク吸光度は減少し、色調は無色に変化した。この反応は、NO消去剤であるcarboxy-PTIOによって濃度依存的に抑制された。Fd (I)とFd (III)とではNOとの反応性に大きな違いは見られなかったが、鉄硫黄クラスターを配位する45と48番目のシステインにはさまれた46と47番目のアミノ酸側鎖Ser-ThrをGly-Glyに改変したFd (III) では野生型に比べてNOとの反応性が非常に高くなっていた。これらの結果は、植物FdもNOのターゲット分子であり、Ser-Thr配列が鉄硫黄クラスターをNOから保護するのに必要であることを示唆している。
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© 2005 日本植物生理学会
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