日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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一酸化窒素(NO)蛍光試薬DAF-2の盲点
*有田 奈央山崎 秀雄
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p. 666

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抄録
一酸化窒素(NO)は、生体内においてシグナル分子として機能しているラジカル分子である [1]。Diaminofluorescein-2 (DAF-2) は、NOと反応することで強い緑色蛍光を発するため、現在、動植物を問わずNO検出に最も広く用いられている試薬である [2,3]。今回、我々はDAF-2の使用法に関して、重大な留意点があることを報告する。DAF-2のNO検出原理として、NOが酸化してできるN2O3とDAF-2が反応し、蛍光量子収率の高いトリアゾール体が生成される経路が有力視されている。生体内NO発生を証明するために、多くの研究報告では、NOの特異的消去剤であるPTIOが併用されている。実際、NO電極測定ではPTIOが液相NOを完全に消去することが確認できた。しかし、直視観察、蛍光分光、マイクロプレートリーダー、いづれの場合においてもPTIOの添加によってDAF蛍光が抑制されることはみられず、逆に著しい蛍光強度の増加が観察された。この結果は、DAF-2とPTIOを併用した多くの植物NO研究の結論に再考が必要であることを示している。

[1] Yamasaki (2005) Plant Cell Environ. in press
[2] Kojima et al. (1998) Anal. Chem.70, 2446-2453
[3] Yamasaki & Sakihama (2000) FEBS Lett. 468, 89-92
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© 2005 日本植物生理学会
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