日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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土壌間隙モデルとしての大きさの異なるメッシュに対する根の接触行動様式の解析
*鄭 泰舜山本 千草太治 輝昭坂田 洋一田中 重雄
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p. 670

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抄録
 土壌には土の粒子や石、他の植物の根などさまざまな物質が存在する。植物の根は、これらの物質の硬さや質、物質間に生じる間隙の大きさを感知しながら、よりよい環境を主体的に求めて成長していくと考えられる。そこで本研究では、植物の根が土壌間隙の大きさを認識することができるのかどうかを検討する目的で、大きさの異なる間隙に対するシロイヌナズナの根の行動を観察した。
 土壌間隙モデルとして0.2%phytagel培地(高さ1.0cm)の表面から0.5cmの位置に、ナイロンメッシュ(目開き20, 32, 38, 42, 50, 77, 95, 133, 161μm)を水平に置く方法を考案した。この方法を用い、phytagel培地表面に播種した幼植物の根が、メッシュに到達したときにどのような挙動を示すかを観察した。この時期の根の平均の太さは、根冠の上部で95μm、伸長帯の上部で130μmであった。その結果、根は、メッシュ表面で「まがる」、根冠がメッシュの間隙を通り抜けられず「うねる」、間隙を通り抜けて「もぐる」、という3つの特徴的な挙動を示した。また、42μmでは「まがる」と「うねる」が、95μmでは「うねる」と「もぐる」が約1:1の比率で観察された。これらの結果から、根は、間隙のサイズが根冠の太さの半分以下であると「まがる」挙動を、また、根冠の太さ以上であると「もぐる」挙動を選択する可能性が示唆される。
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© 2005 日本植物生理学会
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