日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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クラミドモナスの配偶子誘導ににおけるアルキルフェノールの効果
土井 千佳子*大坪 繭子美濃部 純子小泉 修田村 典明
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p. 669

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抄録
環境ホルモン(内分泌撹乱物質)は、ヒトや動物の内分泌機能を妨げる、環境中に存在する化学物質である。また、生殖や他の生物機能をも撹乱することも知られている。ノニルフェノール(NP)とオクチルフェノール(OP)は、炭素数がそれぞれ9と8のアルキル基をもつフェノールで、特に水生生物に強い毒性を示すことが知られている。本研究では、これらのアルキルフェノールがChlamydomonas reinhardtiiの栄養増殖と配偶子誘導にどのような影響を与えるのかを調べた。
mt株を用いて栄養増殖へのノニルフェノール(NP)の影響を調べたところ、10-6M以上の濃度で増殖速度が顕著に抑制された。10-5MのNPでは、培養開始後20日目まではほとんど増殖が見られなかったが、その後増殖が始まった。培地中のNP濃度を測定すると、培養を始めた直後に10%以下まで低下していた。これは、クラミドモナスが培地中のNPを吸着し、増殖できるNP濃度まで減少したためだと考えられる。配偶子誘導中にNPを添加した場合、10-8Mで、コントロールよりもメイティングが40%促進されていることが確認された。またこの時、配偶子誘導に関与するいくつかの遺伝子の発現量がどのように変化するか調べた結果についても報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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