日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

アブラナ科自家和合性系統の和合性突然変異の解明
*藤本 龍品田 智隆岡本 俊介西尾 剛
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 671

詳細
抄録
自家不和合性は近交弱勢が起こらないよう自己花粉による受精を防ぐ機構であり、この遺伝様式は1つの遺伝子座(S遺伝子座)を想定することで説明されている。アブラナ科植物の自家不和合性は、S遺伝子座にコードされる柱頭側のタンパク質であるSRKと花粉側のタンパク質であるSP11の相互作用によることが明らかとなっている。Brassica oleraceaBrassica rapaは一般的に自家不和合性を示すが、自家和合性を示す系統も存在する。本研究では、B. oleraceaB. rapaの自家和合性系統を用いて、自家和合性の原因を調べた。B. oleraceaの自家和合性の1系統には同じSハプロタイプで自家不和合性を示す系統が存在するので、交配実験とRT-PCRにより花粉側、柱頭側共に機能せず、SP11SRKが転写されていないことを明らかにした。B. rapa の自家和合性の1系統においては、広範囲のS遺伝子座をクローニングし、SP11SRKの遺伝子構造を明らかにし、SP11ではプロモーター領域の欠失、SRKではレトロトランスポゾンの挿入によりSP11SRKが発現していないことを明らかにした。以上の結果から2つの系統共にSP11SRKが発現できなくなったことで自家和合性になったと考えられた。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top