日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの雄性減数分裂期におけるテロメアのFISH解析
*安積 良隆外山 俊士中村 美奈子鈴木 秀穂
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p. 672

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抄録
 減数分裂時には染色体が体細胞分裂時とは異なる挙動を示す。特に減数第一分裂においては相同染色体が対合し、それぞれの対を形成する2本の染色体は異なる極へと分配される。この対合が完成するには経なければならないいくつかのステップが存在する。テロメアのクラスタリング、相同染色体のペアリング、減数分裂期組換えの開始、シナプトネマ構造の構築、キアズマの形成などである。シロイヌナズナの雄性減数分裂ではこれらステップがどのように進行するのかを FISH (fluorescence in situ hybridization) 法を用いて調べた。
 減数分裂前間期にテロメアが核小体の周辺に集まるクラスタリングを我々も確認することができた。レプトテン期からザイゴテン期にかけて相同染色体がペアリングする。テロメア付近が比較的早くペアリングするが、必ずしもテロメアからペアリングが始まるわけではないことが明らかになった。相同染色体のペアリングが進行する時期にテロメアからのシグナルが5個所にまで減少するのが観察された。ディプロテン期にはテロメアからのシグナルは約10個所から検出された。第一あるいは第三染色体のテロメア付近の配列に特異的なプローブを用いた実験で、それぞれの染色体の末端が非常に近接して存在するところを観察することができた。これらのことからペアリングした相同染色体のテロメア同士が一時的に会合している可能性が示された。
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© 2005 日本植物生理学会
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