抄録
シロイヌナズナのslr(solitary-root)変異体はオーキシン早期誘導性タンパク質IAA14の機能獲得変異によって側根形成が全く起こらない。一方、ssl2(suppressor of slr2)はslrの側根欠失表現型を部分的に抑圧する劣性のサプレッサー変異であり、slr ssl2 二重変異体では側根が形成される。このSSL2遺伝子は動物のSWI2/SNF2型ATP依存性クロマチンリモデリング因子CHD3/Mi-2ホモログのCHR6/PICKLE/GYMNOSをコードする。動物のCHD3は、ヒストン脱アセチル化とヌクレオソームのリモデリングを介した転写抑制に働くNuRD複合体のサブユニットである。したがって、植物においてもSSL2/CHR6がクロマチンリモデリングを介した転写抑制に関わると推測されるが、SSL2/CHR6がどのような機構で側根形成に関わるのかは不明である。そこで、本研究ではSSL2/CHR6によって制御される下流遺伝子のうち、側根形成に関わる遺伝子群を同定するため、Agilent社Arabidopsis2オリゴDNAマイクロアレイを用いてslrとssl2 slr 二重変異体の根における発現プロファイルの比較・解析を行った。現在、同定した複数の候補遺伝子の組織特異的発現パターンを解析している。