日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヒメツリガネゴケにおけるclass 1 KNOX遺伝子の機能解析
*西山 智明榊原 恵子長谷部 光泰
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p. 697

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抄録
 維管束植物は、二倍体世代において葉等の側生器官を繰り返し形成するシュートを作る。これに対し、コケ植物は一倍体世代にシュートを作り、二倍体世代は軸の頂端にただ一つの胞子嚢を作る。我々は、シロイヌナズナにおいてシュート形成に重要な役割を担う遺伝子であるSHOOT MERISTEMLESS (STM)のセン類における相同遺伝子(class 1 KNOX遺伝子)がどのような役割を持っているかを解明することを目的とした。
 セン類のヒメツリガネゴケは3つのclass 1 KNOX遺伝子(PpKN1/MKN2, MKN5, MKN4)を持つ。各遺伝子の3'端にレポーター遺伝子(uidA)を挿入したヒメツリガネゴケを作出し、レポーター遺伝子の発現を調べたところ、いずれも一倍体シュートでは発現が見られず卵および若い二倍体組織においてのみ発現が見られた。さらに三重破壊株を作出したが、一倍体シュートは正常に形成された。PpKN1をシロイヌナズナにおいて35Sプロモーターの制御下で発現させると葉が切れ込む表現型を示した。このことから、3つのclass 1 KNOX遺伝子は、一倍体のシュート形成には関与せず、二倍体に一時的に存在する分裂組織の形成維持に関与していると推測される。さらに、一重、二重、及び三重遺伝子破壊株の二倍体の発生過程を観察し表現型を報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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