抄録
植物において、表層微小管の配向は細胞の伸長方向を決定するために重要な役割を果たしている。シロイヌナズナspiral2/tortifolia1(spr2)変異株では、黄化胚軸の表皮細胞において表層微小管束が左巻きへリックス状に配向する割合が増加していたため、細胞の伸長方向が右にねじれた形質を示した。spr2変異株の原因遺伝子であるSPR2は、864アミノ酸からなる植物特有のタンパク質をコードしており、SPR2-GFP融合タンパク質をspr2変異株で強制発現させると、伸長方向は正常に回復し、SPR2-GFPは表層微小管に特異的な繊維状の局在を示した。また、タバコSPR2ホモログが、タバコ培養細胞BY-2から精製した微小管付随タンパク質画分から、抗SPR2抗血清を用いたウェスタン・ブロッティングとLC/MS/MS解析により検出された。さらにin vitroにおいて精製組換えSPR2タンパク質は微小管と直接結合した。本発表では、in vivo およびin vitroにおいてSPR2タンパク質が微小管の動態に与える影響について報告する。