抄録
高等植物にみられる体細胞分裂の特徴は、親細胞質の分割が娘核間から細胞質表層へと外側に向けておこることである。細胞質分裂が娘核間で始まるのは、分裂装置であるフラグモプラストがその位置に出現するためであり、分裂が外側に向けておこるのは、細胞板成分の集積を担うフラグモプラスト微小管がその方向に分布を変化させるためである。微小管安定化剤であるタキソールが細胞板の成長を阻害することなどから(Yasuhara et al., 1993)、フラグモプラスト微小管の分布変化は、微小管の解体とそれによって生じたチューブリンの外側での再重合によるものとする説が示されている。私たちは、この説を検証する目的で、フォトブリーチ法を用いた微小管動態解析を試みた。蛍光タンパク質を付加したチューブリンを発現するタバコBY-2細胞では、蛍光チューブリンを取り込んだフラグモプラスト微小管が通常どおりの分布変化を示す。このフラグモプラストの蛍光をレーザー光で部分的に退色させる実験をおこなったところ、フラグモプラストの成長は、退色部位の外側への移動を伴わず、外縁への蛍光微小管の付加によってもたらされることが分かった。この結果は上述の説を支持するものであり、フラグモプラスト微小管の分布変化が同一微小管の移動によって起こるものではないことを強く示唆する。