抄録
アサガオ 品種 ムラサキ(Pharbitis nil st.Violet)の開花は光刺激と温度による制御を受け,気温が25℃の条件では4時間以上の連続した暗期を必要とする.アクチン繊維を脱重合させると開花が阻害されることから,アサガオの開花にはアクチン繊維が何らかの形で機能していると考えられる.植物のアクチン遺伝子はファミリーを形成し,それらの遺伝子の発現は部位特異性や発達段階特異性の点で相互に異なることが報告されている.
我々は,アサガオ花器官のESTデータベースの中から9つのアクチン遺伝子を同定した.これらの遺伝子は相互に塩基配列では75%以上,推定アミノ酸配列では88%以上の相同性を示した.シロイヌナズナのアクチン遺伝子がコードするアミノ酸配列との相同性から,3つは栄養組織型アクチンに,6つは生殖組織型アクチンに分類された.これらの遺伝子の開花過程の花弁全体における発現パターンをRT-PCRにより調べたところ,発現パターンは一定型,増加型,減少型,ピーク型の4つに分けられた.
現在,環境条件を変えて開花させた時のアクチン遺伝子の発現パターンを花弁の部位別に解析し,アサガオ花弁におけるアクチンの挙動と開花運動との関係について考察している.