抄録
私たちはエチレンがアズキ上胚軸においてキシログルカンを高分子化し、伸長成長を阻害することを報告した(植物学会第67回大会)。ところで、エチレンは伸長阻害と同時に細胞の肥大を引き起こす。そのメカニズムを調べたところ、エチレンによって細胞表層微小管の配向が横向きから縦向きへ変化し、細胞肥大が促進されることが明らかになった。このような伸長阻害と肥大促進の機構の間にどのような関係があるか調べるため、次に、微小管破壊剤のコルヒチン、オリザリン、プロピザマイドでアズキ上胚軸を処理し、細胞肥大を誘導した時のキシログルカン量およびその分子量について調べた。上胚軸の細胞伸長は、いずれの破壊剤でも100 nmol以上の処理で著しく阻害された。一方、細胞肥大は促進され、それと同様のパターンで単位長さあたりの細胞壁多糖量が増加した。また、単位セルロース量あたりのキシログルカン量も増加した。さらに、キシログルカンの平均分子量は破壊剤が高濃度になるとともに増加し、上胚軸の直径とキシログルカンの分子量との間には正の相関があった。以上の結果から、微小管破壊剤によって細胞肥大が促進される際には、キシログルカンが高分子化することが明らかとなった。エチレン処理でも同様の結果が得られたことから、一般に細胞肥大が促進される時には、キシログルカン代謝が修飾され、その分子量が増加すると考えられる。