日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのイソペンテニル基転移酵素遺伝子多重破壊株はサイトカイニンの欠乏に関連した表現型を示す
*宮脇 香織北野(松本) 美保加藤 友彦田畑 哲之柿本 辰男
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p. 755

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抄録
植物ホルモンであるサイトカイニンの合成経路の律速段階はアデニン骨格のイソペンテニル化であり、シロイヌナズナではサイトカイニン合成経路のイソペンテニル基転移酵素(AtIPTs)は6つ存在する。私達はさまざまな生長段階においてのサイトカイニン合成の役割を知るためにAtIPTsのT-DNA挿入遺伝子破壊株の表現型の解析を行った。栄養生長期に発現がみられたAtIPT1AtIPT3AtIPT5AtIPT6AtIPT7の多重変異株であるatipt3,5,6,7四重変異株およびatipt1,3,5,6,7五重変異株を観察すると、側根数の増加および伸長促進、根の上部における肥大成長の阻害、ロゼット葉の大きさや形状の変化、維管束パターンにおける変化、ロゼット葉の枚数の減少および葉間期の延長、短くて細い花茎、ロゼット葉腋の腋芽数の減少と伸長阻害、といった多様な表現型が見られた。これらの表現型はサイトカイニン分解酵素遺伝子(AtCKX) の過剰発現株の表現型と似ており、サイトカイニンを添加することによってシュートの表現型は部分的に回復し、さらにAtIPT3::GFPを形質転換することによっても表現型の回復は見られた。以上の結果より、多重変異株で見られた表現型はAtIPTsによるサイトカイニン合成能の低下によって引き起こされることが示唆される。
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© 2005 日本植物生理学会
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