日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ABA誘導性受容体型タンパク質キナーゼRPK1のABAシグナル受容機構の解析
*刑部 祐里子関 原明圓山 恭之進篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 756

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抄録
アブシジン酸(ABA)は乾燥、低温ストレスの応答及び耐性の獲得、種子の成熟や休眠、発芽などの様々な過程に関わる植物ホルモンである。近年、高等植物に存在するレセプター型タンパク質タンパク質キナーゼが、頂芽分化、病原菌抵抗性、ホルモンシグナル伝達等様々な課程に関与することが示された。我々は、ABAシグナル伝達に機能する制御因子の候補として、ABAにより転写誘導がおこるシロイヌナズナ受容体型キナーゼRPK1に着目し研究を行った。RPK1欠失変異体rpk1-1およびrpk1-2は種子休眠、根の伸長成長過程、ABAによる気孔閉鎖においてABA非感受性を示した。また、アンチセンスRPK1遺伝子を導入したシロイヌナズナ由来のけん濁培養細胞はABAの増殖抑制効果に非感受性を示した。以上のことから、RPK1が植物体におけるABAへの様々な応答反応に関与していることが示された。一方、ABA非感受性を示すアンチセンスRPK1遺伝子形質転換体のマイクロアレイ解析よりABAシグナル伝達機構に含まれる多くの下流遺伝子が制御されることが明らかとなり、RPK1がABAシグナルの受容機構に重要な役割を持ち、その機能は下流の経路で働く特異的な遺伝子発現調節過程に及ぶことが明らかとなった。さらに、RPK1の細胞外LRRドメインの高発現もしくはLRRとブラシノステロイド受容体BRI1キナーゼドメインとのキメラ受容体の高発現体について、表現型の解析結果を報告する。
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© 2005 日本植物生理学会
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