抄録
サイトカイニンは植物細胞の増殖制御に深く関わっており、その作用機構を知ることは、植物の発生・成長を理解するための基礎となる。シロイヌナズナrrd4変異体は脱分化・細胞増殖などに関してサイトカイニン依存的な温度感受性を示す。脱分化・細胞増殖に対するサイトカイニンの阻害作用は通常高濃度で処理したときに観察されるが、rrd4変異体ではこのような阻害作用が低濃度域でも表面化するものと思われる。つまり、RRD4の本来の役割は、サイトカイニンの阻害作用の抑圧にあると予想される。RRD4遺伝子はG-patchドメインを持つタンパク質をコードしているが、その分子機能は不明である。
今回、温度条件として許容温度の22℃、制限温度の28℃に中間温度の25℃を加え、rrd4変異体のカルス形成および芽生えの成長に対するサイトカイニン添加の影響を改めて解析した。その結果、サイトカイニンの阻害作用をRRD4が直接抑制するという考え方では説明が難しい現象を見出した。例えば、25℃においては、rrd4の根の伸長はサイトカイニン無添加条件で強く阻害され、低濃度のサイトカイニンを処理することで回復した。rrd4変異が根の成長に必要な内生サイトカイニンに対する感受性を低下させることを示唆している。rrd4変異体の表現型を総合すると、RRD4はサイトカイニンの成長促進作用を高め阻害作用と拮抗させている可能性が考えられる。