日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ABI5を指標としたABA応答の解析系の構築
*阿部 広幸西村 宜之篠崎 一雄平山 隆志
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 758

詳細
抄録
アブシジン酸(ABA)は種子休眠の促進や環境応答に深く関与している重要な植物ホルモンである。このABAの情報伝達経路に関わる因子の同定には、情報伝達経路に異常を持つ突然変異体の単離、解析という遺伝学的手法が有効である。本研究ではこの遺伝学的手法を用い、独創的なスクリーニング系の確立から、これまでのスクリーニングでは得ることが出来なかった新しい知見を得ることを目的としている。
ABA非感受性変異体abi5-1は種子発芽時期に顕著なABA非感受性を示す。原因遺伝子産物であるABI5はbZIP型の転写因子であり、発芽時のABA応答性遺伝子の発現を調節していると考えられている。最近の研究から、ABI5タンパク質の安定性はABAによって制御されていることが明らかとなっている。そこでABI5の挙動に注目し、ABI5を指標にした新たな突然変異体を単離するため、GFPとの融合タンパク質の挙動を指標とした新たなスクリーニング系の構築を試みた。これまでに、GFPの蛍光シグナルがABI5の挙動を反映している形質転換体の獲得を進め、また、ABA応答に異常を示す既知の突然変異体においては、発芽過程のABI5の挙動を確認し、系として機能することを検証した。このin vivoでの挙動をさらに詳細に解析するためにABI5抗体を作製し、ABI5の挙動を検証できる系の確立も進めてきた。現在ではABI5 promoterを用いた解析系の構築も試みており、その経過も併せて報告する。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top