日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ根の接触屈性におけるエチレンの関与
*山本 千草宮川 弦太太治 輝昭坂田 洋一田中 重雄
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p. 770

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抄録
 植物は接触刺激によって、背丈が低く、太く丈夫な植物体になる。この地上部の接触形態形成にはエチレンが関与するとされ、さまざまな研究がなされてきたが、地下部である根が土壌中でどのような因子を介して接触応答をしているのかについては未だ不明である。そこで本研究では、地下部の接触屈性にエチレンが関与しているのかどうかを解明する目的で、エチレンの前駆体であるACC、ACC合成酵素阻害剤、エチレン関連変異体を用いて接触屈性への影響を検討した。
 濃度の異なるphytagel培地を上下二層に積層したのち、上層表面にシロイヌナズナを播種し、実生の根が上層から濃度の高い下層培地に到達したときに、境界面で屈曲するか、あるいは下層に貫入するかどうかで接触屈性(硬軟)の判定を行った。この検定法を用いて、ACC合成酵素阻害剤であるAOA、あるいはAVG を添加し硬軟認識判定を行った結果、いずれの場合もコントロールに比べて根の屈曲率が上昇した。逆にACC を添加すると屈曲率が減少した。他方、エチレン非感受変異体である etr1-1, ein2-1 の接触屈性応答も屈曲率が上昇した。これらの結果は、植物の根がより硬い下層に貫入するときにエチレンが関与していることを示唆する。現在、接触屈性時におけるACC合成酵素遺伝子(ACS) のmRNA の発現解析を行っている。
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© 2005 日本植物生理学会
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