2023 年 21 巻 4 号 p. 477-481
本研究で多拠点生活プラットフォームを介して地域において拠点が場所化されていくプロセスを明らかにし、地域計画に関する知見を導出することを目的とする。調査の結果、地域住民にとっての拠点とは、 ①多拠点生活者という地域に対し異質なものを受け入れる場所 、②拠点に立ち寄り、多拠点生活者との交流を通して価値観、知見、技術、そして地域に対する評価を享受することができる場所 、③日常的な多拠点生活者との流動的交流を通して地域住民が個人で実現し難いことを表現したり、相談することのできる居場所であることが明らかとなった。 多様な属性、志向、目的を持つ多拠点生活者が地域に訪れ、拠点管理人を介し地域と関わり、地域住民が価値観・知見・技術・地域に対する評価といった多拠点生活者による価値を享受することで拠点に対する意味の獲得・変容が促進されている。さらに拠点に入れ替わり滞在する多拠点生活者との流動的交流を通じて地域住民の表現の機会が生まれ、地域において拠点が場所化されている。