日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

葉緑体分裂因子ARC3の相互作用因子の解析
*島田 裕士小泉 公人高宮 建一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 791

詳細
抄録
葉緑体は原始真核生物への原始原核光合成細菌の細胞内共生によって生じたと考えられている。そのため、宿主である原始真核生物は原始原核光合成細菌の分裂を制御するために、共生後に新たな制御機構を発達させたと考えられる。この制御機構の解明を目的として、我々はシロイヌナズナの葉緑体分裂変異体arc3の遺伝子同定を行った。ARC3タンパク質は、N末領域がバクテリアの分裂制御因子であるFtsZとのホモロジーがあり、C末領域は真核生物でよく知られているシグナル伝達因子のphosphatidylinositol-4-phosphate 5-kinaseの一部とホモロジーがあった。抗体による解析からARC3タンパク質はFtsZ タンパク質と同様に葉緑体の分裂面に存在していた。また、葉緑体の分裂時におけるARC3タンパク質の機能解析を目的として、ARC3タンパク質との相互作用因子の同定を、酵母Two-hybrid systemやARC3-6xHisの融合タンパク質カラムを用いて探索を行っている。酵母Two-hybrid systemよりARC3タンパク質は自分自身との相互作用が確認された。その相互作用領域の同定から、ARC3タンパク質は繊維状の多量体を形成可能である事が示唆された。現在さらに詳細な解析を行っており、あわせて報告する予定である。
著者関連情報
© 2005 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top