抄録
ヒャクニチソウ培養系では単離葉肉細胞から管状要素への分化転換を高頻度で誘導できる。我々は、この実験系に適した遺伝子導入法を確立し、管状要素分化特異的発現を示す機能未知遺伝子群について解析を行ってきた。これまでに二本鎖 RNA 導入による発現抑制解析から、管状要素分化に必要だと考えられる遺伝子の候補として、新規の膜タンパク質をコードする遺伝子 ZeTED6 と ZeTED7 を見出した。これらに対応するシロイヌナズナの AtTED6 と AtTED7 の発現解析の結果、いずれも管状要素分化特異的であることがわかった。ヒャクニチソウ培養系では ZeTED6 と ZeTED7 が協調的に働いて管状要素分化を促進している事が示唆された。一方、形質転換シロイヌナズナにおいて AtTED7 の発現抑制により発芽段階で致死となったことから、この遺伝子が個体発生のうえで必須であることが示された。以上の結果をもとに、これら機能未知遺伝子の役割について考察する。