日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネ葉緑体形成不全突然変異株 virescent-2 におけるミトコンドリア局在型グアニル酸キナーゼ遺伝子の機能解析
*杉本 広樹楠見 健介吉村 淳射場 厚
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p. 796

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抄録
グアニル酸キナーゼ (Gmk) はグアニンヌクレオチドの生合成経路におけるキーエンザイムであり、(d)GMP から (d)GDP へのリン酸化反応を触媒する。Gmk はまた、グアニンヌクレオチドの供給を通して、さまざまなシグナル伝達経路の制御に重要な働きをする。しかしながら、これらは細菌や動物細胞から得られた知見であり、高等植物における Gmk に関する報告は、酵素そのものの生理学的活性を含めてほとんどない。イネ葉緑体形成不全突然変異株 virescent-2 (v2) は葉緑体分化の初期過程が阻害されることにより、クロロシス(葉の白化)を起こした葉を抽出・展開する。ポジショナルクローニングにより原因遺伝子を単離したところ、V2 遺伝子はミトコンドリア局在型の Gmk をコードすることがわかった。これらのことはミトコンドリアにおけるGmk 活性が葉緑体分化に必須であることを示している。また、これまで種々の真核生物において、細胞質局在型の Gmk に関する報告は多いが、ミトコンドリア局在型についてはほとんど知られていない。ゲノム解析から、イネゲノム上には Gmk をコードすると推定される遺伝子が複数存在していることが示唆されており、v2 変異株におけるこれらの Gmk 遺伝子の比較を通して、ミトコンドリア局在型 Gmk の働きについて議論したい。
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© 2005 日本植物生理学会
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