抄録
系統プロファイリングは,系統特異的に保存された遺伝子群を探し出すのに用いられる手段で,多数のゲノムのデータが整ってきている状況においては,極めて有効である。数年前から開発を続けているGCLUSTというソフトウェアを用いて,ゲノム中の全タンパク質配列の総当たりBLASTPの結果に基づいて,相同グループを推定した。このグループについて,光合成生物には保存されているが,他の生物には含まれないものを選び出した。同様の手法は,顕花植物特異的な遺伝子の推定などにも利用できるはずである。さて,こうして,光合成生物に共通で未知遺伝子からなる40個の相同グループを得た。これらは,おそらく光合成に関連した新規のタンパク質をコードしていることが予想される。そこで,これらの相同グループに属するSynechocystis sp. PCC 6803の遺伝子43個について,それらの破壊株を作製したところ,光合成に影響のあるものが多数得られた。植物の結果は石川が報告する。