抄録
植物は光により生育状態を大きく変える．葉の緑化および老化は最も劇的な変化の一つである．この時のプラスチド機能変換においてプロテアソームの関与が示唆されるがその実態は明らかでない．本研究では，葉の緑化および老化の誘導が容易なオオムギ（Hordeum vulgare）を材料とし，プロテアソームの一般的基質であるSuc-Leu-Leu-Val-Tyr-MCAを用いて，プロテアソーム様活性の解析を行った．オオムギ緑葉抽出液をDEAE-celluloseで分画したところ，3種類のプロテアソーム様活性が見られた．これらはSDS濃度が0％，0.02％，0.1％において最も活性化された．0.02% SDSで活性化されるフラクションの精製を行ったところ20Sプロテアソームであることが確認された．プロテアソームは異常タンパク質の分解を行っていることから、老化時のタンパク質分解に関与しているものと考えられる．そこで，生化学的な性質やサブユニット組成の変動など、老化に伴うプロテアソームの変化を明らかにするため，オオムギ緑葉および黄化葉から20Sプロテアソームの精製を行った，両者を比較したところ，SDS依存性において違いが確認された．また，ウエスタン解析とともにアミノ酸配列解析を行い各サブユニットの同定を試みた．
