日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ生活環におけるタンパク質凝集体の形成および分解機構の解析
*豊岡 公徳福田 裕穂松岡 健
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p. 814

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抄録
高等植物において、細胞内で生じた異常タンパク質が、どのように細胞に処理されるかに関する知見は乏しい。我々は、小胞体膜タンパク質であるチトクロムb5とRFP(Cyt b5-RFP)の融合タンパク質をタバコ培養細胞BY-2株で発現させると、細胞増殖期に赤い蛍光を発する凝集体(RFP凝集体)が細胞内に形成されルことを見出した。また、RFP凝集体は、栄養飢餓によって誘導形成されたオートファゴソームにより取り込まれ、液胞へ移行し分解されることを明らかにした。そこで、この現象と細胞分化や細胞の老化がどのように関わっているかを明らかにするために、シロイヌナズナの植物体にCyt b5-RFPを発現させた株を作製した。蛍光顕微鏡観察の結果、ほとんどの器官の細胞にRFP凝集体が確認されたが、組織や細胞によってその存在量や分布に違いが見られた。種子中には、RFP凝集体は存在せず、発芽に伴い組織や細胞中に形成されることがわかった。また、ロゼット葉やさやにおけるRFP凝集体は、黄化するに伴い減少することがわかった。このことから、凝集体は細胞の分化や老化に伴って形成・分解されることが示唆された。現在、これらの機構について解析を進めている。
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© 2005 日本植物生理学会
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