抄録
植物は、光合成による炭酸固定によって有機物を合成し生育する。また、他の従属栄養生物へ有機物を供給するという役割を担っている。光合成は葉緑体で行われており、クロロフィル合成経路など研究が盛んに行われ、明らかになりつつある分野もあるが、それらに比べ、葉緑体形態形成、斑入り、子葉特異的変異といった現象についての知見はまだまだ少ない。
葉緑体の形状は多くの高等植物では、直径5~10 μm、厚さ2~3 μmの円盤状である。その形状が変化する変異体はいくつか報告されているが、その多くは分裂やタンパク質輸送経路の異常が原因とされている。葉緑体の形態を決定するメカニズムの実体に関しての知見はまだない。斑入りは、一枚の葉の中で葉緑体が発達する部分と発達しない部分が混在する現象で、遺伝的背景が同じであるにもかかわらず、白い斑になる細胞と葉緑体が発達して緑になる細胞があるのは、非常に興味深い現象である。また、斑の入り方は光条件や栄養状態などで大きく変化するなど、複雑な制御系が関与していることが伺われる。子葉特異的あるいは本葉のみに表現型が見られる変異があることから、本葉と子葉では異なったメカニズムで形態形成や葉緑体の発達の制御が行われていることが考えられるが、その詳細はわかっていない。
これらの現象に新たな知見を与えると考えられる変異体の解析を行っているので報告する。