抄録
ダイコンの液胞膜画分に見出されたCa2+結合タンパク質(RVCaB)は,グルタミン酸が全アミノ酸の33% (82/248アミノ酸)を占め、芳香族アミノ酸やシステインを含まない極めてユニークな可溶性の酸性タンパク質である。シロイヌナズナでのオルソログを検索したところ、RVCaBと類似したアミノ酸組成をもつタンパク質を5種発見し,AtCaB1~5と命名した。このうちAtCaB1~3は互いに配列の類似性が高く,本研究でその分子生理学的な性質を解析した。GFP融合タンパク質発現法で解析したところ,3分子種はいずれも細胞質に局在が確認された。シロイヌナズナ植物にストレス等(金属イオン,植物ホルモン,光条件)を与え,各器官での3分子種のmRNAレベルをreal-time PCRによって定量的に解析した。AtCaB1は地上部、AtCaB2とAtCaB3は根に構成的に発現していることが確認された。なお,AtCaB3のmRNA絶対量は極めて少なかった。明暗への特徴的な応答としてAtCaB1とAtCaB2は,暗所条件でmRNAの蓄積量が10倍以上の誘導が観察された。3分子種ともに,ジベレリン処理によっても誘導が確認され、光に関連した形態形成に関与する可能性が示唆された。各種金属イオンや他のホルモンに対する応答と過剰発現植物についても報告する。