日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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システイン生合成系に関与するシロイヌナズナセリンアセチル転移酵素遺伝子の機能解析
*渡辺 むつみ野路 征昭加藤 友彦田畑 哲之斉藤 和季
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p. 849

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抄録
セリンアセチル転移酵素(Serat)は、セリンとアセチルCoAから、システイン生合成の重要な中間体であるO-アセチルセリン(OAS)を生成する酵素である。シロイヌナズナゲノムには、5つのSerat遺伝子が存在する。Serat1;1、Serat3;1、Serat3;2は細胞質、Serat2;1は葉緑体、Serat2;2はミトコンドリアに局在しているが、各Seratアイソフォームの役割の違いは明らかになっていない。また、Serat1;1、Serat3;2の活性はシステインによるフィードバック阻害を受けることからシステイン生合成系の制御において重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では、各Serat遺伝子の役割を解明するために、各Serat遺伝子にT-DNAが挿入されたノックアウト変異体を単離し、二週及び四週齢のロゼット葉を用いて遺伝子発現解析及び代謝物分析を行った。RT-PCRにより各変異体におけるSeratの発現量を測定した結果、野生型シロイヌナズナと比較して各標的Seratの発現は抑制されていたが、その他のSeratの発現量に著しい変化は観察されなかった。しかし、HPLCを用いてOAS、システイン、グルタチオン蓄積量の測定を行った結果、各変異体における代謝物蓄積パターンに違いが観察された。この事から各Serat遺伝子は異なる役割を果たしていることが示唆された。
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© 2005 日本植物生理学会
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