抄録
根の器官培養系は,分化した形態を維持しながら無限増殖し生育環境の高度な制御が可能であることから,根に特異的な二次代謝成分の生産や生合成研究に用いられている.本研究では,モデルマメ科植物ミヤコグサを用いて,植物ホルモンで誘導・維持される不定根培養系と土壌細菌 Agrobacterium rhizogenes の感染により誘導される毛状根培養系の誘導法を検討しその二次代謝の特性を調べた.
無菌幼植物の根を0.1 mg/l インドール酪酸を添加したB5液体培地に植え込み旋回培養したところ,外植片に生じた多数の根端分裂組織から根が伸長し3週間で20倍以上に成長した.培養根をエタノールで抽出後,不溶性画分を塩酸-ブタノール中で加熱処理し,生じた色素の吸光度から縮合型タンニン量を測定した.B5培地で培養した場合の含量が 0.4-0.5 mg/g fw であったのに対し, 同培地の窒素成分とリン酸成分を1/10にしたところ含量が約3倍に増大した.一方,胚軸を外植片とする効率的な毛状根の誘導法を検討し,最適な感染時の菌濃度・共存培養日数・除菌法を確立した.イソフラボノイド組成の改変を目指して,ダイズのイソフラボン生合成に関与する脱水酵素をコードするcDNAをバイナリーベクターに組み込み形質転換毛状根を作製した.形質転換毛状根のフラボノイド組成について報告する予定である.