抄録
高等植物の色素はイソプレノイドから合成されており、酵素群の遺伝子が同定されてきた。しかし、色素とキノンはイソプレノイドを介して密接に関係しているにもかかわらず、色素代謝がフィロキノン(PSI反応中心;vitamin K1)、プラストキノン(PSII, Cytb/f電子伝達物質)代謝に与える影響について明確にされていない。クロロフィル、カロチン、キノン側鎖の関係を明らかにするために、側鎖の還元状態に注目した。クロロフィル側鎖還元に変異を有するイネ(Oryza sativa)2系統を用いて実験を行った結果、クロロフィル側鎖の還元は、光合成活性に必須でないが植物が野外で生育するために必要であった(Shibata et al. Plant Sci 2004)。さらに、クロロフィル側鎖の還元反応とカロチノイド、フィロキノン、トコフェロール、プラストキノン合成との関係を調べたところ、クロロフィル側鎖還元は、カロチノイド、プラストキノン合成に影響を与えないが、トコフェロール・フィロキノン合成を大きく抑制し、変異株の葉片にはメナキノン(vitamin K2)の蓄積が見られた(Shibata et al. J Exp Bot 2004)。これらのデータおよびイネ黄化葉の緑化に伴うキノン類の蓄積パターンを基に、イソプレノイドを中心としたカロチノイド、クロロフィル、キノン類の側鎖合成・機能について報告を行う。