抄録
前報では、タバコ培養細胞BY-2から選抜したNi耐性変異株(NIT細胞)が700μM Niに対する耐性とCu過剰およびAl過剰耐性を持ち、Niを超集積(約2300μg/g乾物)することを示した。またNIT細胞内有機酸およびHis濃度が野生株よりも相対的に高いことから、これらがNiをキレート化し解毒作用に貢献しているものと推測した。一方でNIT細胞のCu過剰とAl過剰耐性が、Ni耐性の場合と同様に細胞内での無毒化によるものかは不明であったため、CuおよびAl処理した場合の細胞内金属含量を検討した。30μM Cu処理をすると野生株は完全に死滅したのに対し、NIT細胞は約150μMのCuを細胞内に蓄積しながらも生育は良好であった。このことからNIT細胞がこれまで予想していた以上に強力なCu耐性を持つことが分かった。NIT細胞内K、Mg、Ca、Mn含量はCu濃度にほとんど影響されず、野生株を常に上回る値であった。Fe含量はCu濃度上昇に伴い増加したが、Zn含量は逆に減少した。高いCu集積能やK、Mg、Ca、Mn、Fe含量が高い点はNi処理の場合とよく似ていた。従って、NIT細胞のCu耐性機構がNiの場合と同様である可能性が示唆された。またAl処理による細胞内金属含量の挙動についても考察する。