日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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日本植物生理学会賞
ミトコンドリアと色素体の分裂装置の発見からオルガネラ生物学の新展開ー真核生物の構築基盤となる”シゾン”の3ゲノムの完全解読ー
*黒岩 常祥
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p. A1

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抄録
ミトコンドリアと色素体(オルガネラ)は自律した細菌から生じたとされている。これらは分裂・増殖して、はじめてエネルギー変換器としての機能を果たすが、その分裂機構は長い間不明であった。私は、先ずミトコンドリアと色素体の分裂がオルガネラ核分裂とオルガネラキネシス(ミトコンドリオキネシスと色素体キネシス)からなることを発見したが、オルガネラキネシスを制御している物理的な装置は不明であった。しかし1986年に色素体キネシスに必須な色素体分裂装置(PDリング)を、1993年には、ミトコンドリオキネシスに必須なミトコンドリア分裂装置(MDリング)を世界ではじめて発見した。更に2001年、細菌由来のFtsZリングが分裂部分のストロマ側に、2003年、ダイナミンリングが細胞質側に形成され、これらが分裂を制御していることを明らかにした。こうしてオルガネラの分裂が、ダイナミックトリオ(FtsZ, PD/MDそしてダイナミンの各リング)によって制御されていることが明らかとなった。また極く最近、”シゾン”の3ゲノムの全塩基配列を完全解読したが、この情報は、オルガネラ生物学の基本的な原理を明らかにするのに役立つと考えられる。
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© 2005 日本植物生理学会
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