日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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環境変動下の植物における光合成系の重要性ーイントロダクションー
*園池 公毅
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p. S20

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抄録
 植物は、移動能力が欠如しているため、周囲の環境の変動を避けることができない。低温、高温、乾燥、強光といったさまざまなストレスによって植物の生育は制限されるが、この中で、光とそれ以外のストレスは極めて強い相乗効果を示す。例えば、低温感受性植物を低温にさらした場合、完全暗所ではほとんど生育に影響が見られない温度処理条件でも、直射日光の1/20程度であっても弱い光があたっている場合は生育が不可逆的に阻害される。このことは、植物の環境ストレス応答を考えるにあたって、葉緑体と光の相互作用が極めて大きな意味を持っていることを示している。植物は生存を光のエネルギーに全面的に依存しており、葉緑体における光合成反応にとって光が不可欠である以上、植物の環境応答を議論する上で、葉緑体における光合成の阻害のメカニズム、およびそのような阻害を避けるために葉緑体が発達させた防御システムを理解することを避けて通ることができない。
 本シンポジウムにおいては、環境変動による光合成の阻害のメカニズムをまず概観し、次いで、葉緑体内部の防御システム、葉緑体と細胞質の相互作用による防御システム、葉緑体と他のオルガネラとの相互作用による防御システム、そして葉緑体移動による防御システムといった葉緑体・光合成系の環境変動からのさまざまな保護機構について議論したい。
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© 2005 日本植物生理学会
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