日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光化学系の防御メカニズムはどこまで解明されたか?
*西山 佳孝
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p. S21

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抄録
 光化学系IIは光エネルギー変換を担うシステムでありながら、光に対する感受性がきわめて高い。この逆説的な現象は光化学系IIの光損傷(光阻害)と呼ばれ、これまでに多くのメカニズムが提唱されてきた。その代表的なものに、アクセプターサイド光損傷説、ドナーサイド光損傷説、電荷再結合説などがあるが、いずれも生体で見られる現象を反映していない。すなわち、(1)光損傷は光強度と直線的に比例する、(2)光損傷は電子伝達に依存しない、(3)光損傷は活性酸素によらない、(4)光損傷の作用スペクトルは紫外光から青色光の領域に極大がある、という事実を説明できない。そうした中、光損傷のターゲットが酸素発生系だとする説が現れた。この説では、酸素発生系のマンガンクラスターが光を直接吸収して崩壊することが光損傷の最初の段階であると推測されている。この場合、光化学系IIにとって光は不可避的な損傷要因となることが考えられる。一方、光化学系IIは代謝回転が速く、損傷を受けた構成タンパク質が新規に合成されたタンパク質に置き換わることにより修復される。つまり光化学系IIの活性は、損傷と修復のバランスによって決まるといえる。これらのことから、光に対する光化学系IIの最大の防御メカニズムは修復システムだと考えられる。塩ストレス、低温ストレス、酸化ストレスなど他の環境要因もとり上げて、光化学系IIの修復と防御の関係を議論する。
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© 2005 日本植物生理学会
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