日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光学系Iにおける余剰光エネルギーの行方は?
―ATP合成酵素εサブユニットの挙動からの考察―
*明石 欣也上妻 馨梨横田 明穂
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p. S22

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抄録
葉の細胞が光エネルギー過剰の環境に曝された時、光化学系IIではチラコイド膜ルーメンのプロトン濃度に依存してNPQが誘導され、余剰光エネルギーが熱として散逸される。一方、光化学系Iにおいては、余剰光ストレス条件下における循環型電子伝達反応の活性化が報告されている。この電子伝達はチラコイド膜ルーメンへのプロトン流入を伴うが、それによるチラコイド膜の過剰な電気化学ポテンシャルがどのように処理されるのか、またルーメンの過度な酸性化が如何に回避されるのかという疑問が生じる。我々は乾燥強光耐性植物である野生スイカのプロテオームを解析する過程で、葉緑体ATP合成酵素のεサブユニットの蓄積量が、他のサブユニットに比べて乾燥強光ストレス下で顕著に減少することを見出した。εサブユニットは、ルーメンからストロマへのプロトン漏出を抑制する機能と、ATP加水分解反応の抑制に機能する因子である。従ってεサブユニットの選択的解離により、ルーメンからのプロトン漏出が促進されΔpHが緩和されること、およびストロマにおけるATP加水分解反応が促進されることが示唆される。εサブユニットの選択的解離によるルーメン酸性度の緩和は、光化学系Iの循環型電子伝達系と共同で、光化学系Iにおける余剰光エネルギーを散逸する新機構として機能する可能性が考えられる。
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© 2005 日本植物生理学会
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