日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光傷害防御に役立つ葉緑体の移動
*加川 貴俊
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p. S25

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抄録
外界の光環境に依存して葉緑体はその位置をかえる。弱光下では葉緑体は光に向かって集まり(集合反応)、強光下では光から逃げる方向に移動する(逃避反応)。これらは葉緑体光定位運動と呼ばれ、緑藻・コケ・シダ・種子植物といった緑色の葉緑体を持つ細胞でよく知られている。シロイヌナズナにおいて、集合運動はフォトトロピンファミリー(phot1とphot2)により制御されており、逃避運動はphot2のみで制御されている。逃避運動が欠損したシロイヌナズナは、強光耐性が著しく低下し、強光が照射されると白化し死んでしまう。このように葉緑体光定位運動は強光耐性に重要な役割を担っている。
 また、フォトトロピンは葉緑体光定位運動の光受容体であるばかりでなく、光屈性や気孔開口を制御する光受容体として機能している。これらも光合成に影響を与える因子である。葉緑体光定位運動やフォトトロピンの観点から、光合成への寄与に関する話題を提供する。
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© 2005 日本植物生理学会
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