日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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一過性RNAiの代謝プロファイリングへの応用
*福崎 英一郎小林 昭雄佐藤 文彦
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p. S27

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抄録
RNAiの植物代謝工学への応用を考えた場合,代謝関連遺伝子の機能解析を志向したハイスループットの一過性RNAiアッセイ系は有用である.そこで,モデル植物であるシロイヌナズナを対象としてロゼッタ葉およびT87培養細胞由来のプロトプラストを用いて一過性RNAiアッセイシステムの開発を行った.標的遺伝子の部分配列を含むdsRNAを試験管内で調製し, PEGを用いたトランスフェクション法によりプロトプラストに導入し,対象遺伝子の発現量を定量RT-PCRで観測した.CDS部分に相同性を有する2つの遺伝子(sdh2-1,sdh2-2 )を対象とした.CDS部分をRNAi標的とした場合,両者が抑制され,それぞれの3’UTR部分を標的とした場合,それぞれが独立に抑制された.両者の3’UTR配列に対応するdsRNAを混合して導入した場合,両者が抑制された.形質転換効率は約80%で,抑制効果は,約5日間継続した.上記の結果より,本法により複数の内生遺伝子の選択的同時抑制が可能であることが示された.同法の形質転換効率(80%)は必ずしも低くは無いが,代謝解析に適用する際,20%のバックグラウンドがS/N比を大きく低下させる場合も想定される.形質転換細胞の濃縮に関する検討を行ったので併せて紹介する.現在,同法を用いてオウレン培養細胞のベルベリン生合成関連遺伝子と思われる配列の機能解析に応用している.
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© 2005 日本植物生理学会
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