抄録
配列特異的なRNA分解を伴うRNA
サイレンシング(RNAi)は、ウイルスや導入遺伝子などパラサイト遺伝子の制御に関わり、ウイルス感染に対する防御機構の一つである。これに対抗する 手段として、多くの植物ウイルスはRNAi抑制遺伝子を持っていることが分かってきた。我々は、二分節一本鎖プラスセンスRNAウイルスである Dianthovirus属のRed clover necrotic mosaic virus(RCNMV) がRNAi抑制能を持つことを明らかにしてきた。RCNMVによるRNAi抑制には、RNA複製酵素成分(p27とp88)とウイルスRNAの存在が必要であった。その抑制活性は、ウイルスRNAのマイナス鎖合成に必要なRNAシス因子と強くリンクしており、必ずしもプラス鎖合成は必要でないことが明らかとなった。これらの結果は、RCNMVによるRNAi抑制にはウイルスRNA合成の開始に必要なウイルスRNAと複製酵素成分の複合体形成が重要であることを強く示唆する。RNAi抑制にウイルスタンパク質に加えウイルスRNAを必要とするウイルスはこれまで報告されていない。RCNMVは,dsRNAで誘導したRNAiにおいては長い方のsiRNA(24-26nt)の蓄積を特異的に抑制した。これらの結果から、RCNMVはdsRNAの切断過程に関わるDicerなどの因子をRNA複製因子として用いている可能性が考えられる。