抄録
シロイヌナズナに3種類の病原菌接種(Alternaria brassicicola、 Alternaria alternata、 Colletotrichum higginsianum)、ホルモンおよびシグナル物質処理(SA、ET、JA、ABA)、活性酸素種誘導物質処理(パラコート、ローズベンガル)、無生物ストレス処理(重金属、紫外線、乾燥、低温、塩)をして、経時的に約7000(7K)遺伝子の完全長cDNAマイクロアレイと22Kオリゴマイクロアレイを行い、網羅的に遺伝子発現を解析するとともにその結果をデータベース化した。マイクロアレイ解析により、アブラナ科野菜類炭そ病菌に対する抵抗性エコタイプEil-0とWSのhost-resistanceおよび感受性エコタイプCol-0のbasal defenseはJA/ET経路が主要な防御シグナル伝達機構であることを明らかにした。一方、SAシグナル経路は主要な抵抗反応ではないが、何らかの関与をしていることが示唆された。このようにマイクロアレイデータベースを利用して応答遺伝子の発現プロファイルを詳細に解析することで、病原菌に対する植物の防御シグナル伝達系路を推測し、より精緻に遺伝子ネットワークカスケードを描くことができることが示唆された。本講演では我々の研究結果を中心に紹介するとともに、植物免疫分野におけるマイクロアレイの利用法を提案する。