日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アブラナ科植物の水チャネルの活性と細胞内局在の多様性
須賀 しのぶ石川 文義水谷 政博*前島 正義
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p. S65

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抄録
シロイヌナズナは35種のアクアポリンをもち,PIP, TIP, NIP, SIPに分類されている。個々の分子機能と生理学的役割を明らかにすることを目的に,シロイヌナズナならびに同じ科のダイコンを対象としてアクアポリンの研究を進めている。その過程で得られた興味深い次の知見を中心に議論したい。(1)当研究室で確立した酵母発現系/ストップドフロー光散乱分光学法での解析では,分子活性が高いと予想されたTIPは水チャネル活性の高いPIPと同定であった。さらに(2)PIP2タイプ3種は高い活性を示すのに対し,PIP1タイプ3種はいずれも活性がきわめて低い。(3)PIP1と2それぞれに固有のアミノ酸の中でPIP2のVal-235が機能発現に必須であり,これをPIP1型に固有のIleに置換すると機能を失う。逆にPIP1型のIleをValに置換すると高い水チャネル活性が発揮される。これらの残基は2つ目のNPAモチーフから6残基目に位置する。(4)シロイヌナズナの3種のSIPは,水チャネル活性がほとんど確認できない。そしてGFP融合タンパク質法,細胞分画・免疫化学法いずれにおいても明瞭なER局在を示した。これらの知見は,多様なアクアポリンが,固有の細胞内局在において,水チャネルとしてだけでなく,他の物質輸送に関わっている可能性を強く示唆している。個性豊かな分子種の機能解明のスタートとしたい。
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© 2005 日本植物生理学会
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