抄録
液胞は、植物細胞全体積の80-90%を占めるオルガネラで、近年、植物の多彩な生理機能、例えば、細胞空間充填、物質集積、細胞内環境調節、高分子物質分解などに重要な役割を果たしていることが明らかになりつつある。また、液胞機能の多くは、中心液胞のみで生じるものではなく、小胞体あるいはゴルジ体などから液胞への物質輸送に働いているとされる液胞小胞系も重要な働きをしている。これら多くの液胞機能において、液胞膜および液胞内のタンパク質が重要な働きをしていることは論を待たない。そこで、液胞で機能するタンパク質の網羅的解析を目指して、シロイヌナズナ培養細胞から単離したインタクト液胞・液胞小胞系の膜関連タンパク質のプロテオミクス解析を進めた。一次元SDS電気泳動ゲルからの抽出、あるいはダイレクトLC-MS/MSを組み合わせることで、約200種のタンパク質を同定した。液胞膜タンパク質として代表的なV-H+ ATPase、V-H+ PPaseのほか、各種トランスポーターや未知の膜貫通タンパク質などを見出した。
従来、液胞への小胞輸送は、液胞構成タンパク質の輸送に関与するとされていたが、最近低分子の輸送や蓄積にも、小胞輸送そのものあるいは液胞小胞系の膜輸送体が関与する可能性が示唆されつつある。本発表では、耐塩性機構や、リン酸ホメオスタシス機構への液胞・液胞小胞系ネットワークの関与について議論する。