抄録
我々はシロイヌナズナを用いて、花茎重力屈性の分子遺伝学的研究を行ってきた。その過程で、植物細胞の特徴的な多機能オルガネラである液胞に、重力感受という極めて高次の新規機能があることを示してきた。重力刺激は、内皮細胞中のアミロプラストが重力方向に移動することによって感受されるが、そのアミロプラストの動態には、内皮細胞の体積のほとんどを占める液胞の機能やその膜構造が密接に関係する。このオルガネラ動態に関与する分子ネットワークを明らかにするために、重力屈性異常変異体(shoot gravitropism)の原因遺伝子である、トランスゴルジ網-液胞間の小胞輸送に関与するQb-SNARE ZIG/SGR4/VTI11及びQa-SNARE SGR3/SYP22、液胞及びドット様オルガネラに局在するphospholipase A1-like SGR2、線虫Rme-8 (Receptor-mediated endocytosis-8) homologであるSGR8を中心に研究を進めている。本シンポジウムでは、zig 及びsgr2変異体のサプレッサー因子について報告するとともに、内皮細胞の液胞膜動態と上記遺伝子の関係を考察する。