日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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GC-MSによる代謝産物分析データを複数試料間で比較するためのピークアラインメントツールの開発
*櫻井 望鈴木 秀幸中村 由紀子草野 都斉藤 和季柴田 大輔金谷 重彦
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p. 003

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抄録
ガスクロマトグラフィー-質量分析機(GC-MS)は、植物のメタボローム解析において主要な分析機器の一つであり、高分解能、保持時間の高い再現性などの特徴を有する。GCで分離された分子はMS機器部分でイオン化され、開裂を経て複数の娘イオンとして検出される。開裂パターンはそれぞれの分子で特有であるため、標準物質のパターンとの比較によりピーク化合物を同定できる。しかし、植物代謝産物の全ての標品や開裂パターンデータは入手困難なため、現状では、植物試料における同定率は一般に10~20%程度である。代謝産物プロファイルを複数試料で比較するためには、未知化合物を含めてピークの対応関係を解析できるツールが必要である。そこで我々は、それを可能にするJavaソフトウェアを開発した。本ソフトウェアでは、ピーク検出とデコンボリューション、保持時間の補正、開裂パターンによるピークアラインメント等が可能である。GC-飛行時間型-MSを用いてシロイヌナズナ培養細胞の単一抽出試料を複数回分析して得られたデータを解析した結果、再現性の高いアラインメント結果が得られた。また、シロイヌナズナ培養細胞とミヤコグサの葉の分析結果から、両試料間での代謝産物プロファイルの比較を行うことに成功した。
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© 2006 日本植物生理学会
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