日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
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多次元NMRメタボロミクスの基盤整備と植物代謝物解析への応用
*田 春杰坪井 裕理近山 英輔関山 恭代黒森 崇篠崎 一雄平山 隆志菊地 淳
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p. 004

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抄録
ポストゲノム時代の今日、代謝産物の網羅的解析いわゆるメタボローム解析が注目されている。メタボローム情報は、生命現象を様々な分子変動のネットワークとして記述するシステムズバイオロジーに必須な、重要な情報と位置づけられている。現在、代謝産物解析には質量分析計を用いた手法が主流である。しかし、代謝産物の化学的多様性や将来要求されるであろう反応動態の空間・時間分解能を見据えると、多様な計測機器を組み合わせた新規方法論の開発が望まれる。そこで、我々は多次元NMR法を用いた代謝産物解析法の開発、基盤整備を行っている。安定同位体標識を併用した多次元NMR計測では、非侵襲計測、化合物の原子毎の変動追跡、不溶物を対象にした計測など、ユニークな代謝変動計測が可能となる。また昨今、新たな測定方法、計測機器の開発もなされ、高感度化も飛躍的に進んでいる。我々はこれまでに、動植物の均一安定同位体標識化、代謝物抽出法の効率化、標準物質のNMRケミカルシフトデータベース構築、多次元NMR法による物質同定システムSpinAssignの開発、を進めてきた。本大会では、これらを紹介するとともに、ABA応答時のシロイヌナズナT87培養細胞の代謝・転写物変動解析、シロイヌナズナ遺伝子破壊系統の代謝物解析の試みについて報告する予定である。さらに今後の多次元NMRメタボロミクスの展開、可能性についても議論したい。
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© 2006 日本植物生理学会
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