医療の発展に伴い,本邦においても小児がんの長期生存率は欧米と同等の約80%と推定される.それにもかかわらず欧米のような小児がん経験者(以下,CCS)のための十分な長期フォローアップ支援体制が存在しているとはいえない.その原因として,長期フォローアップ関連のデータ収集項目が統一されておらず,それらのデータを管理する全国規模のインフラが存在しないため,系統的に収集されたデータセットがなく,その結果晩期合併症等の実態が明らかでないこと,また各診療施設におけるCCSのフォローアップの具体的な方法が統一されていないこと等が考えられる.
小児がん長期フォローアップには,長期的合併症および成人医療へのトランジションや追跡不能例など多種多様な課題があり,その克服にはやはり全国規模の体制構築が必要である.そしてその体制においては,CCSについて証明すべき仮説から演繹して収集したデータを用いて,理論に基づいたフォローアップ診療や個別支援の提供を行い,最終的にCCSにメリットが還元されることに重点をおくべきと考える.
これらの課題に取り組むために,現在がん対策推進総合研究事業の一環として,通称「長期フォローアップ松本班」による全国長期フォローアップ体制の構築計画が進行中である.本稿ではその活動の背景となる全体構想,データのインフラ整備,そして将来的な国際共同に関する展望等について述べる.