日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ラン藻Synechococcus elongatusの新規な輸送体活性制御機構の解析
*前田 真一杉田 千恵子杉田 護小俣 達男
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 040

詳細
抄録

ラン藻Synechococcus elongatus strain PCC 7942には、ABC型の硝酸イオン・亜硝酸イオン輸送体(NrtABCD)に加えて、潜在的に硝酸イオンを輸送することのできるSulPファミリー輸送体(LntT)が存在する。我々は、レスポンスレギュレーター(LntA)がハイブリッドヒスチジンキナーゼ(LntB)によりリン酸化されている時に、LntT輸送体は活性化されていることを昨年の本学会で報告した。lntAB遺伝子クラスターの下流には、自己リン酸化ドメインを欠いたハイブリッドヒスチジンキナーゼをコードしている遺伝子(lntC)が存在する。そこで今年は、LntT輸送体活性制御機構におけるLntCの役割について報告する。in vitroリン酸転移反応実験の結果、LntBが自己リン酸化したリン酸基は、LntAを介してLntCのヒスチジン残基に転移されることが明らかになった。またLntCのヒスチジン残基は、in vivoでLntT輸送体を活性化するのに必須であった。さらにLntCのC末端にはユニークな領域があり、この領域を二量体を形成することが知られているグルタチオン S トランスフェラーゼとの融合タンパク質としてラン藻細胞内で発現させると、LntT輸送体が活性化されることが示された。これらの結果から、LntCがLntBとLntAによりリン酸化されることによって二量体となることが、LntT輸送体を活性化するのに重要であると推定された。

著者関連情報
© 2006 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top